更新日:2017年06月26日 16:40
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スーパーの“食品トレー”は店内で捨てる? 持ち帰る? 従業員の悲痛な叫び

 そもそもAさんが店内で破棄される食品トレーの問題を意識するようになったキッカケとは。数年前に、勤務するスーパーの本社から各店舗におけるゴミの分別を徹底するように指示があったのだという。 「来客用に提供されている店内のゴミ箱から、内容物を回収し、燃えるゴミ、再生可能な紙、プラスチック、食品トレー、空き缶・ペットボトルの5種類に分別することになりました。サービスカウンターの裏で、店員が使い捨て手袋を着用したうえで分別作業を行っています。ゴミ箱の内容物でもっとも多いのがトレーです。セールの日には、出口に近いゴミ箱が午前中のうちにトレーで満杯になることさえあります」  肉のタレだけではなく、様々な食品の汁などが合わされば、悪臭を放つこともあるだろう。ゴミ箱は極めて不衛生な状態となる。  Aさんは、ゴミ箱に捨てられた食品トレーの山とサッカー台の汚れを見て、これまでに何度も本社や店長に「貼り紙をするなどして、店内でのトレー破棄をやめさせてほしい」と提案したが、“ゴミ箱は来客者へのサービスとして提供されている”側面もあるため、受け入れられることはなかったのだという。  その一方で、食品トレーを外す人にも事情があることを忘れてはならない。 「私はひとり暮らしの独身で、普段は仕事が忙しく、週1でまとめ買いをするしかない。車やバイクはないので、スーパーの袋を自転車で持って帰らなければなりません。袋が多くなれば、運転も大変です。食品トレーを外してなるべくコンパクトにまとめたい」(60代女性)  Aさんは、このような“やむなくトレーを外している”という声もあることをインターネットの掲示板や雑誌・新聞などを通して知った。そのうえで、こう考える。 「食品トレーは一体何のためにあるのかという根本的な疑問がわいてきます。結局のところ、トレーは無駄にゴミや体積を増やす過剰包装であると言わざるをえない。来客者のマナーもあるが、より根本的にはトレー包装を続けている店舗側の問題でもあるのです」  現在、一部の生協やスーパーではトレーを使わない「ノントレー包装」を実施している店舗もあるが、日本全体の小売業まで普及させるためには、食品加工部門の包装機械を新しくする必要があるため、まだまだ時間がかかるのだという。  私たちの生活に必要不可欠な存在のスーパー。今回のテーマを皆様はどう感じるだろうか。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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