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知られざる“老人ホーム経営”の実態――本当に怖いのは「悪徳業者」よりも「素人業者」

 もし自分や自分の親が住んでいる高齢者住宅が青天の霹靂の如く倒産してしまったら……路頭に迷ってしまうことは想像に固くない。だからこそ、プロの事業者による高齢者住宅か、素人事業者によるものかをきちんと見極める必要がある。では、どのように見極めればいいのだろうか。 「大手ならば大丈夫だろうという人もいますが、それは誤った認識です。全国展開しているようなところでも素人事業者はいますし、逆に単独で頑張っている有料老人ホームやサ高住でも、質の高い業者はたくさんあります。大切なことは、◯◯だから大丈夫と拙速に判断するのではなく、きちんと時間と労力をかけて調べることです。たとえば、多くの人が“流し読み”をしてしまう重要事項説明書。これをきちんと読み、必要箇所を見比べるだけでも、どの業者が優れていて、どの業者が素人なのかが見えてきます」  この重要事項説明書の中で、特にわかりやすいものが次の3点だ。 ・「全体の人数・常勤換算でのスタッフ数」……これを見ることで、適切な人員配置がされているかがわかる。 ・「管理者の資格・専任の有無」……これを見ることで、管理者の資格や経験が十分にあるかがわかり、さらに、専任か兼務かによって、その管理者のスタンスを判断することもできる。 ・「前年度の採用者数・退職者数」……これを見ることで、スタッフの熟練度を推し量ることができる。人材の流動性が高いほど、ノウハウは蓄積されていないと判断できる。  そのほかにも、たくさんの項目があり、事業者やサービスの質を探る手がかりが数多くあると濱田氏は話す。 「ほとんどの人にとって、高齢者住宅選びは初めての経験です。ですから、何を聞けばいいかわからないし、何がわからないのかですらわからないという人がたくさんいます。そうしたみなさんに言いたいのは、『わからないままにしておいてはいけない』ということです。特に先のような重要事項説明書を読んでいくと、わからないことがたくさん出てきます。それらを一つひとつ理解していくことです。これが老後に安心して暮らせる住まいを見つける最短ルートなのです」  高齢者ビジネスで一儲けしてやろうという素人事業者の美辞麗句に惑わされずに、質の高い高齢者住宅で安心・快適に過ごすためにも、40代、50代のうちから真剣に向き合わなければいけない。 【濱田孝一】 経営コンサルタント、社会福祉士、介護支援専門員、ファイナンシャルプランナー。1967年生まれ。立命館大学経済学部卒業後、銀行に入社。以後、介護スタッフ、社会福祉法人マネジャーを経て、2002年より介護ビジネスや高齢者住宅についての経営コンサルティング、講演、書籍執筆を行う。最新著に『「老人ホーム」大倒産時代の備え方 高齢者住宅を正しく見極める』が好評発売中。 <取材・文/日刊SPA!編集部>
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「老人ホーム大倒産時代」の備え方

60歳になる前に知っておきたい基礎知識を介護業界のプロが伝授。安すぎる高齢者住宅、無届施設、素人事業者、老人ホームランキング、紹介業者etc.要注意ポイントを解説。

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