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鉄道業界で“アナログなスロー旅”が人気な理由「SLならではの音や振動が良い」

アナログレコードやラジカセなど、若者の間で“アナログ”なものがはやっているという。しかもそれは、懐古趣味ではなく、デジタル時代だからこそ生まれた現象だったのだ!

“アナログでスローな旅”へ回帰する鉄道業界

 現代の科学技術の粋を集め、スピードや乗り心地、安全性を追求する鉄道業界。新幹線をはじめとする最新型車両の大半もデジタル化した超ハイテク。が、そんななかで“アナログ”な部分にも注目が集まっているという。鉄道に詳しいライターの鼠入昌史氏は語る。
JR九州のSL人吉

JR九州の肥薩線を走る「SL人吉」。球磨川沿いを走る車窓も魅力のひとつだ。

「デジタル化した鉄道というと高速化に目が行きがち。最新技術でスピードを追求することをデジタル化と呼ぶならば、最近の鉄道業界の注目はむしろアナログ感のある“スローな旅”。全国的に乗ることそのものを目的とした観光列車がはやっており、ほとんどは時間をかけてゆっくり走りながら車窓を楽しめるものです」  今年8月に運転を開始した東武鉄道のSL「大樹」はその代表。機械感たっぷりの走行音や吐き出す煙はデジタルとは程遠いが、それこそが人気の秘密なのだとか。 「SLだけでなく、’60~’80年代に製造された古い車両も鉄道ファンの間では人気です。快適性では最新車両の足元にも及びませんが、アナログ車両ならではの音や振動、車体の重厚感などまるで生き物のようなところがいいのでしょう。古い車両が現役で見られる路線は少なく、レア感があることも手伝って、SLや古い車両が現役バリバリだった時代を知らない若い鉄道ファンからも愛されている点は大きな特徴といえますね」

スローな旅でアナログを演出

 一方で、デジタル技術を使いつつアナログでスローな旅を実現するケースも増えているという。 「JR東日本の豪華クルーズトレイン『TRAIN SUITE 四季島』は、電車と気動車両方の機能を併せ持つ新技術を採用しており、電化・非電化を問わず走ることが可能。最新技術によって旅そのものをアナログ化している、というわけです。デジタルとアナログの融合とでも言うのでしょうか」  ハイテク化する一方と思いきや、実はアナログ復権の鉄道界。SLに乗ってアナログな鉄道旅を体感してみては? ― 20代アナログ復権現象を追う ―
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