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妊娠中の生活保護受給者に「いつ堕ろすんですか?」――生活保護の現場が荒れるワケ

生活保護窓口での水際作戦、受給者へのパワハラが横行


 さまざまな要因があるとはいえ、一番しわ寄せを受けるのは受給者だ。労働相談を中心に活動するNPO法人POSSEには、生活保護に関する相談が年間約1000件寄せられるが、半数近くは行政の不当な対応についてだという。

「窓口で言われることが多いのは、『ハローワークに行って働けないことを証明してください』『家族に頼ってください』というもの。DVや虐待の被害を受けている人にも、家族への連絡を強要するケースがあり、行政の対応によってDV・虐待の二次被害が生じているのです」(POSSE・渡辺寛人氏)

 大阪府在住のユカリさん(仮名・32歳)も、そんな水際作戦に遭った一人だ。

「兄妹から日常的に暴力を受けていました。特に兄の暴力はエスカレートする一方で、3年前のある日、ついに家を飛び出したんです。最初の数日はネカフェで過ごしましたが、すぐにお金が尽きてシェルターに入りました。その後、生活保護を申請したのですが、最初は『家庭で頼る人がいないのか』と難色を示されましたね」

 申請者に施設に入るよう要求するケースもあるが、渡辺氏はこれも大問題だと語る。

「3畳一間のベニヤ板で仕切られたような場所で暮らすことを強要し、寮費などの名目で生活保護費の大半をピンハネするような施設が多いんです。いわゆる貧困ビジネスですね。入居を拒否すると、『じゃあ、生活保護は受けられませんね』と追い返す。これは生活保護法30条の居宅保護の原則に反した違法な対応です」

 さらに、こうした水際作戦をくぐり抜け、ようやく受給が始まっても安心はできない。

「就労指導と称して、『カラダを売って働けばいいじゃないか』と言われた女性もいました。また、受給中に出産する場合、分娩費や入院費を賄うための出産扶助の費用が支給されますが、妊娠をケースワーカーに告げたら『出産扶助出しませんよ』と言われたケースもある。『いつ堕ろすんですか?』と、直接的な言葉をぶつけられた人すらいます」(渡辺氏)

 こういったパワハラは不正受給の防止や、就労指導を盾にしているわけだが、その点についても渡辺氏は逆効果だと語る。

「受給者の中には、ケースワーカー以外に日常的に交流する相手がいない人もいる。その唯一の相手から差別的な対応をされれば精神的にもダメージを受けて自立は遠ざかりますし、結果として保護が長期化して社会的なコストも増大してしまうんです」

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現場の対応だけでなく国の指導にも問題が

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