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“元出演者”としてAV出演強要問題について思うこと【カリスマ男の娘・大島薫】

女性は、男性には見えない「壁」を持っている

 少し話は前後するが、この見た目になって、一つ気付いたことがあった。  それは女性が女性だけに見せる姿だ。ボクが女装で生活するようになって、初めて女性同士のお泊り会に呼ばれたときのこと。ボクは肉体的にも精神的にも男性なのだが、女性というのは女性の見た目をしていると、親近感があるのかそんなボクでも女性と同じように扱ってくれる(それで困ることもあるが……)。  さあ、いまからお泊りスタートといったところで、女性たちが突然変化した。髪を乱雑にまとめ上げ、メイクを落とし、あぐらをかき、聞いたこともないような声の低さで話し出す。特に声のほうは衝撃を受けた。例えるなら、「普段のお母さんと、電話に出るときのお母さん」くらい違う。  ボクは23歳のころまで普通に男性として生活をしてきたが、彼女だろうと仲のいい女友だちだろうと、こんな姿を見せられることはなかった。普段男友だちのように付き合っている女の子が「私って男みたいなもんだからさー!」などと言っていたが、そんな比ではない。  そこにボクが想像していた女の子はいなかった。  さて、いま書いているエピソードは、「女性たちは普段男に媚びている」というような話をしようとしているのではない。何度かそういった彼女らの外面と内面の違いを見て、その理由に気付いた。  これは彼女らが、女性として生きるうちに身に付けた「見えない壁」なのだ。男性がいる場で見せるにこやかな顔、愛嬌のある仕草、高めの声のトーン……そういったもの全てが男に対する防御壁だと感じる。  女性は男性と話すとき常に身構えているのだ。性的な目線、暴力、威圧。そういったもののリスクを、女性はいつも感じている。それはつまり、基本的に女性らにとって男性が《恐い対象》であることを意味しているといえるかもしれない。
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誰も強要しなくても、女性の中で強要は進んでいく
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