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AO入試枠の拡大で、貧しい家庭の子供は東大に合格しづらくなる!?

“受験戦争”という言葉は過去のもの。高校生の学力低下が問題になり、さらに少子化で各大学が学生の確保に躍起になっている。そんななかで、新たな受験方式である「AO入試」の増加で大混乱している大学の入学事情。精神科医で受験アドバイザーもある和田秀樹氏に話を伺った。 ◆AO入試枠の拡大で、学生の貧富の格差がさらに広がる<和田秀樹氏> AO入試枠の拡大で、大学生の貧富の格差がさらに広がる AOの導入で学力低下ばかりか貧富の差が拡大してしまう。これこそが安倍政権の狙いでしょう。中教審が答申した20年からの新入試制度では、AOを含む推薦を拡大、制度を取り入れた大学に補助金を増やし、導入しなければ逆に減らすという。当然、右へ倣えで各大学は方針に従うでしょう。  すでに今でも、東大合格者の生徒で年収400万円未満の家庭は約14%しかいない。新入試制度の運用次第では、その14%が限りなくゼロに近づく可能性もあります。  昔は地方の公立高校出身の東大卒がたくさんいたし、エリートになって貧しい人へ配慮する人も多かった。今の東大生は、裕福な家庭に育ち、子供の頃から塾に行き中高一貫校に進む。だから貧乏人の暮らしをまったく知らない。新制度では、こういう傾向がさらに助長されるかもしれないのです。  難関校のAOでは、予備校の指導が効いてきます。結局は、新たな“AO受験テクニック”を習得できる者が勝ってしまう。合格するのは、高額なAO受験予備校に通う財力と、高2までに高3の勉強を終えて、高3時に受験に集中できる時間のある中高一貫の進学校の生徒ばかりになる。面接でも小論文でも、親の職業のステータスが高くて裕福だと有利な傾向がありますね。  それこそ小泉進次郎議員や安倍首相のように子供の頃から偉い人に会っていれば、面接でも物おじしない。安倍さんには子供はいないけれど、例えば「安倍首相の息子です」と面接で言えば、落とす度胸のある人はいないと思います。AOはやめて、初等・中等教育の充実で学力を取り戻し、大学教育の改革に専念すべきです。 【和田秀樹氏】 灘高校を経て東京大学医学部卒。精神科医として活躍するとともに、受験アドバイザーとして多くの受験生を東大に合格させた実績をもつ。受験本など著書多数 取材・文/林克明 斎藤清八 横田一 ― 大学が[AO入試]で狂っている! ―
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