S660とロードスターがあれば、これより速いクルマも高いクルマも不要なり
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
清水草一(S660納車待ち)×渡辺敏史(ロードスター商談だけ)両氏による恒例の自動車放談は、今回で11回目。愛すべきクルマバカの2人が“ちょい飲み”絶好調の日高屋で、上半期の自動車業界を振り返り、下半期に思いをはせる。
◆ニッポン自動車業界[奇跡の2台]!
【第11回クルマバカ放談 2015年 上半期編】
清水草一(自動車ライター)×渡辺敏史(自動車ライター)
清水:ナベちゃん、マクラーレンP1乗った?
渡辺:乗ってないです。あの手合いは918しか乗れてないです。
清水:918もボタン押すの?
渡辺:ありますよ、速いボタン。
――1億円もするようなスーパーカーの話は『ベストカー』(連載「エンスー解放戦線」)でやってください。
清水:オレは今年、我がクルマ人生の岐路に立ったんだよ!
渡辺:それはどういう意味ですか?
清水:もうこれ以上速いクルマはいらん! これ以上高いクルマもいらん!という境地に達したんだよ。
渡辺:それは要するに、そのレースから脱落するということですか?
清水:もう完全に離脱だよ! なにしろS660とロードスターという、とてつもない傑作が出たから!
渡辺:この2台が同じタイミングで出たのはすごいことですよね。
清水:まさに惑星直列だよ!
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渡辺:それにしてもS660の発表会に出たその足で契約しに行くって、S660の何がそんなに響いたんですか? グルメ飯ばっか、しこたま食べてきた人が、日高屋に来て感動するみたいなパターンですか(笑)?
清水:このあいだユニクロでエアリズムのブリーフを780円で買ったの。もうこれ以上のブリーフはいらない!って感動したんだ。これこそまさにS660だってね。
渡辺:エアリズムのブリーフ買うなんてセレブですよ。普通みんなドンキで2枚580円とかで買ってんですから(笑)。ボクも相当ユニクロには通ってますけど、エアリズムのブリーフは手が出ない。
清水:ドンキのブリーフははいたことないけど、2枚580円と1枚780円の、その差が重要なんだよ。エアリズムは本物だ。S660の支払総額240万円というのも、軽としては高いけど、それだけ出す価値がある本物ってこと!
渡辺:限定車(660台)の抽選会にも行ったんですよね。
清水:行ってよかったよ! ご来場サービスってことで、オプション5万円券もらったんだ。商談のとき、オプションからは5万円引いてもらったけど、さすがに値引きの話はまったく出なかったね。国産車で値引きの話が一切出ないなんて、うれしいじゃないですか!
渡辺:ロードスターはいの一番で商談しましたけど、「一律5万円引きで決まりです」って。
――S660にはフェラーリに匹敵する歓びがあるんですか?
清水:あるね。コペルニクス的な大転換で、フェラーリやマクラーレンの新車なんてもうダサい! そんなのまだ買うの?って。
渡辺:でも458乗ってますよね?
清水:乗ってんだけど(笑)、フェラーリは458を最後にもう買わなくていい。新しい488GTBはどう見てもS660に敵わないね、クルマの魅力として。たぶん(笑)。
渡辺:大乗フェラーリ教教祖さまがそんなこと言っていいんですか?
清水:S660かロードスターを買わないマニアはアホだよ! オレはいずれロードスターも買うから。
渡辺:その予感はボクもしてます。買うと思います。そしていずれS660も買うと思います。中古で78万円とかなったら(笑)。
――ホンダはS660以外、新車販売もF1も大苦戦中ですが。
清水:S660出したんだから、ほかはいいよ。
渡辺:あれだけで値千金!
清水:いまや椋本クン(S660開発責任者)は最大のスターだよ!
渡辺:12兆円企業の一部員でありながら、彼はよく高校球児っぽい感じを保ててますよね(笑)。
――上半期はS660とロードスターに尽きるようですが、輸入車は?
清水:輸入車なんかまだ欲しいの?
渡辺:この半年、これほど輸入車に目が向かなかった年はなかったですね。そのなかで人知れずVWとメルセデス・ベンツが覇権争い。VWが減らしてメルセデスが増えてるから、今年日本で一番売れた輸入車がメルセデスになるかも。
――いつもこの対談のネタで大半を占めるトヨタは?
清水:そういえばミライ(燃料電池車)の話してないじゃん。
渡辺:あれはトヨタにしかできない所業ですから。
清水:あれこそトヨタのノブレス・オブリージュだよ。
――決算は日本企業初の利益2兆円超え。今年度は2兆7000億円予想と、業績絶好調です。
渡辺:トヨタがこの調子であと60年頑張ってくれたら、国の借金チャラになりますよ(笑)。
清水:ありがたいよね。
――下半期は東京モーターショー開催にNSX、プリウスが控えてます。
清水:NSXは開発中止でいいよ。乗ると面白いかもしれないけど、カッコ悪すぎる。デザインが大敗北!
渡辺:ホンダのデザインは壊滅的ですね。
清水:NSXのことを考えるのはやめよう。日本にはS660があるじゃないか! 日本人しか乗れないんだから。
渡辺:知り合いから聞いたんですけど、もうイギリスに5台くらい輸出した業者がいるって。
――リッター40㎞の大台を達成すると噂されるプリウスは?
清水:もう燃費はあきたね。せいぜい実燃費は23㎞くらいでしょ?
渡辺:街中でコンスタントに20㎞は出るでしょうね。街中20㎞っていったら、もうバイクですよ。
清水:アクアだって街中20㎞くらい出るからさ。前から言ってるけど、高いハイブリッドの元は取れないよ。
渡辺:その瞬間、得したという勝利感に弱いんでしょうね。
――下半期に何か夢と希望は?
清水:次の消費税アップは2017年春だっけ。とにかくそれまでに、どれだけ景気の勢いをつけるかでしょ。じゃないと再増税でまた死んじゃうからさ。
渡辺:もっともっと!ですよね。
清水:だから、ナベちゃんもクルマ買わなきゃダメなんだよ!
渡辺:FD(RX-7)車検出してる場合じゃないですね(笑)。
清水:オレはS660が来れば、頑張って4台体制になるわけだよ。
渡辺:一個人としては相当な布陣ですね。
清水:日本経済復活のために、個人でできることはすべてやる!
渡辺:清水家は戦時体制ですね(笑)。
◆下半期もいいクルマ出ます!【新車スケジュール予想】
<7月>
トヨタ・シエンタ、VWパサート
<8月>
レクサスLX、アウディTT
<10月>
レクサスRX、ホンダNSX、ホンダ・シビックタイプR
フィアット500X、ジープ・レネゲード
東京モーターショー(10月29日~11月8日)
<11月>
トヨタ・プリウス
<12月>
三菱デリカD:2、スズキ・ソリオ
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